金曜日, 11月 29, 2002

[更新状況]

Iron Gate にドナ・タート『シークレット・ヒストリー』を追加しました。
(結局三日続けてドナ・タート)

木曜日, 11月 28, 2002

[ドナ・タートの聖地]

ええと、二日続けてドナ・タートです。だってこんなにハマッた小説は久しぶりなんだもん。

海外には彼女の熱烈なファンサイトがあって、Danna Tartt Shrine もその一つです。ここはとにかく内容が充実していて、ほとんどの情報が手に入ります。デザインもドナ・タートに相応しい美しさです。

このサイトで面白かったのは、『シークレット・ヒストリー』のキャラクター紹介があって、オーナーさんの好みなのか、フランシス・アバネイシィに力が入っていることです。
フランシスはゲイで、作品中でもアルフレッド・ダグラス(オスカー・ワイルドの恋人)やロベール・モンテスキュー(プルースト『失われた時を求めて』のシャルリュス男爵のモデル)のイメージで語られていますが、アルフレッドやモンテスキューの写真があるのは当然として、お洒落なフランシスが身に付けているアクセサリーの画像まで掲載されています。

人気投票では、ヘンリーがダントツですが、フランシスも主人公のリチャードといい勝負です。
また映画になったときのキャスティングは? という投票では

フランシス : ジュード・ロウ
リチャード  : トビー・マクガイア
ヘンリー  : ジョクイーン・フェニックス
カミラ    : グイニス・パトロウ
チャールズ : ジュード・ロウ
バニー   : クリス・クレイン

あたりが票を集めているようです。

水曜日, 11月 27, 2002

[ドナ・タート、新作を語る]

10年ぶりの新作、『The Little Friend』が絶好調のドナ・タート。SFGate(San Francisco Chronicle)の読書欄でも特集記事が掲載されている。

Donna Tartt is back. This time, with full orchestra

これによると、ミリオンセラーを記録した『シークレット・ヒストリー』(扶桑社ミステリー)は、『ソフィーの選択』『推定無罪』『ペリカン文書』のアラン・パクラ(Alan Pakula)が映画化権を取得したものの、パクラが死亡してしまい、計画は流れてしまったようだ。残念。(誘惑的なフランシス──彼はゲイ──の役を楽しみにしていたのだが)

で、新作の『The Little Friend』は、タートによれば──『シークレット・ヒストリー』が一人称によるソロ楽器による「コンチェルト」ならば──『戦争と平和』のような多楽章、多声部、多楽器による「フル・オーケストラ」のようなものだという。

そして彼女はソフォクレス、コンラッド、キプリング、ルイス・キャロル、ヘンリー・ジェイムズ、そしてディケンズを引用しながら自作を語り、さらに南部の作家としての自分の「血統」(フォークナーのような)を意識し始めたということだ。

『シークレット・ヒストリー』に劣らず重厚でロマンティックな感じがする新作『The Little Friend』も早く「日本語」で読みたい。


火曜日, 11月 26, 2002

[オリヴァー・ストーンのアレクサンザー大王、中止か]

Advocate の記事によると、オリヴァー・ストーン監督が計画していたアレキサンダー大王の生涯を描く映画「Alexander the Great」が中止になる模様。

Oliver Stone's Alexander the Great movie may be history

理由は、『ムーラン・ルージュ』の監督バズ・ラーマンが、同じくアレキサンダー大王の映画をプロジェクトしており、しかもレオナルド・デカプリオが主演だということらしい。

……で、なぜこの記事が advocate に載っているかというと、アレキサンダー大王がゲイであることは周知の事実らしく(記事でも”gay conqueror Alexander ”と書いてある)、映画も当然そういったことが描かれるはずだからだろう。
それにしても、バズ・ラーマン&デカプリオはちょっと出来すぎのような……。

月曜日, 11月 25, 2002

[更新状況]

Iron Gate に野矢茂樹 『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』を追加しました。

日曜日, 11月 24, 2002

ハーヴァードの醜聞、明らかになる

ハーヴァード大学の暗い過去が、学生新聞により明らかになった。

'20s Harvard scandal exposed

今から82年前、ハーヴァード大学で二人の男子学生が自殺をし、数人の学生、教師が大学を辞めさせられた。その理由は彼らがゲイだったからだ──クリムゾン・リポーターの Amit R. Paley 氏は、当時ハーバード大学に設置された「秘密の裁判」の記録を発見し、それについて取材し、記事を公表した。

Paley 氏が最初、大学の記録文書に不審を抱いたのは、「秘密の裁判」と書かれた部分にある汚れに気づき、隠された「章」の存在を確信したことによる。
このことにより、6人の学生と1人の教員が同性愛のため大学を追われ、さらに2人のストレートの学生がゲイの学生との「交流」により、学校を辞めさせられたことがわかった。

Paley 氏の記事は、1人1人、犠牲になった人物たちを紹介する。1920年に自殺した Cyril Wilcox──彼の寮の部屋に "faggoty parties'' という中傷文書があった──からスタートし、同性愛が原因で大学を出ていった人たちを追う。
その中で興味深いのは自身はゲイではなく、ゲイの学生たちと交流があったため「罪」に問われた Joseph E. Lumbard 氏。彼の孫である Lumbard 氏は祖父のことを「本当にリベラルな心の持ち主であった」と語った。

ハーヴァード大学学長 Lawrence Summers 氏は、この記事の事実と犠牲になった学生、並びにその家族に対し、遺憾の意を示した。
現在の学生の1人は、当時の大学の体制を「ばかげたこと」と非難する。1974年度の学生で、ハーヴァード・ゲイ&レズビアン幹部会メンバーの Tom Parry 氏は「過去に起こった典型的に悲しいことの一つだ……しかし現在のハーヴァードは(その当時と違い)変わった」と語った。


この記事を読んで思うのは──とくに自殺したゲイの学生に対し ``faggoty parties'' という中傷文が投げつけられたことに非常に憤りを感じる。なぜならば、日本でも同じように、「やおい」関係者が、人権上問題になり回収されたゲイを愚弄する文書をWebに転載し、馬鹿にしたコメントを書いているからだ。

いったい21世紀になって、どうして20世紀の「愚行」を繰り返すのだろう。当時のハーヴァードでさえ Joseph E. Lumbard 氏のような、ゲイを庇い、そのために学校を退学した人物がいるというのに、「同性愛」を扱っている「やおい」関係者たちが、率先してゲイを愚弄した「中傷文」を載せ、遊んでいるとは。
あきれてものも言えない。